非エンジニアのAI実務術 2026年7月4日 · 読了 15分

介護施設の家族向けお知らせ文、AIに丸投げはNG/AIと"往復"して"施設の言葉"に仕上げる方法【お願い・変更連絡も】

介護施設の家族向けお知らせ文を、利用者情報をAIへ入れずに作る方法。行事案内、持ち物のお願い、面会ルール変更を、完成プロンプト、追加指示、Before/Afterで解説します。

介護施設の家族向けお知らせ文、AIに丸投げはNG/AIと"往復"して"施設の言葉"に仕上げる方法【お願い・変更連絡も】

送迎と記録が一段落した夕方、家族向けのお知らせ文だけが残っている。日程を伝えるだけなら短く書けますが、持ち物のお願いや面会ルールの変更になると、命令調にも他人事にも見えない言葉を探して手が止まります。

AIへ任せればすぐ書けそうに見えます。ただし介護施設の文書には、利用者の名前、心身の状態、ケア内容、家族の連絡先など、外へ出してはいけない情報が隣り合っています。

使う範囲は「家族へ一斉に送る、個人情報を含まない事務連絡」だけです。施設で決定済みの内容をAIへ文章化させ、返ってきた案へ「もっと柔らかく」「お願いの理由を先に」と追加し、最後は職員が施設の言葉へ直します。

介護施設の家族向けお知らせ文をAIと往復し施設の言葉へ仕上げる図

一斉連絡なのに、お願いの文面で手が止まる

行事案内、日程変更、持ち物のお願い、面会方法の変更。内容は施設全体に共通でも、書き方には気を使います。強く書けば家族へ負担を押しつけるように見え、曖昧に書けば「結局どうすればよいのか」が伝わりません。

過去の文書を探し、日時や項目を差し替え、語尾を整えるうちに時間が過ぎます。AIに任せたいのは、この白紙から骨組みを作るところです。

介護施設で夕方にお知らせ文がたまりお願いの表現で手が止まる様子を示す図
マナブ
過去のお知らせ文をAIに貼り、似た文章を作ってもらえば早いのでは?
考えるマナブ
説明するラボ博士
ラボ博士
過去文書に利用者情報や連絡先が混ざっている可能性があります。貼り付けるのではなく、個人情報を含まない決定事項だけを、新しい入力欄へ書きます。

対象は一斉連絡だけ。個別文書は扱わない

この記事で扱う:行事案内、全体の日程変更、全家族へ共通する持ち物のお願い、施設で決定済みの面会ルール変更など。
この記事で扱わない:個別の体調報告、介護記録、ケア内容、申し送り、入退所に関する連絡、個別の苦情・事故対応。

個別文書は、利用者の心身の状態やケア内容そのものを扱います。今回の方法へ混ぜません。また、医療・感染症対応・ケア方針の中身をAIに考えさせません。AIが行うのは、施設が責任を持って決めた内容の文章化だけです。

基本は4段階:指示、返し、直す、施設の言葉

最初のプロンプトで、対象、目的、決定事項、禁止事項を伝えます。AIの返しを読み、命令調、曖昧さ、言い訳に見える部分を短い追加指示で直します。最後に職員が、事実と施設の普段の表現を確認します。

家族向けお知らせ文をプロンプトからAIの返し、追加指示、職員の仕上げへ進める往復フロー図

ケース1:定例のお知らせ・日程変更

定例のお知らせは、往復の基本を試しやすい文書です。日時と対象を先に見せ、変更がある場合は「何が変わったか」を一か所へまとめます。次の内容はすべて創作・一般化した例です。

1. コピペ用完成プロンプト
あなたは、介護施設の家族向け一斉連絡文を整える下書き係です。施設で決定済みの行事案内・日程変更を、家族が確認しやすいお知らせ文へ整理してください。

【大前提】
- 利用者名、心身の状態、ケア内容、介護記録、入退所情報を入力・推測しない
- 家族の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先を入力・推測しない
- 個別の利用者・家族に宛てた文章は作らない
- 医療、感染症対応、ケア方針、参加可否の判断をAIに考えさせない
- 施設が決定していない日時、対応、代替案、約束を補わない
- AIの出力は下書きとし、最後は必ず職員が事実を確認して「施設の言葉」に直す

【文書の種類】
- 家族全体への一斉連絡
- 内容:行事の日程変更

【施設で決定済みの内容】
- 行事名:[個人情報を含まない名称]
- 変更前:[日付・時間]
- 変更後:[日付・時間]
- 変更理由:[施設が公開すると決めた一般的な説明/記載しない]
- 家族に確認してほしいこと:[1つ]
- 問い合わせ方法:[施設で公開済みの窓口/人が後から記入]

【返信ではなく、お知らせ文としての目的】
- 変更点を最初に分かりやすく示す
- お詫びを重ねすぎず、必要な確認事項を伝える
- 決定していない内容は書かない

【出力形式】
1. 件名
2. あいさつ
3. 変更前/変更後
4. 確認してほしいこと
5. 問い合わせ先 [職員が記入]
6. 公開前に職員が確認する項目

【文体】
- 落ち着いた敬語
- 1文を短くする
- 200〜260字程度
- 「ご理解ください」だけで押し切らない
2. AIの返し(例)
件名:行事日程変更のお知らせ

ご家族の皆さまへ

予定しておりました [行事名] は、日程を変更して実施いたします。
変更前:[日付・時間]
変更後:[日付・時間]

ご予定いただいていた皆さまには、ご迷惑をおかけいたします。ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

お問い合わせ:[職員が記入]
3. 直す追加指示
変更後の日程を最初に見つけやすくしてください。「ご迷惑をおかけします」を重ねず、変更理由は施設が公開すると決めた内容だけを1文で入れてください。最後に、家族がすることを1つだけ明記してください。
4. Before / After

Before:変更点を探しにくい文

諸般の事情により行事の日程を変更しますので、ご理解とご協力をお願いいたします。詳細は施設までお問い合わせください。

After:決まったことが先に見える文

件名:[行事名] 日程変更のお知らせ

[行事名] は、[変更後の日付・時間] に実施いたします。
変更前:[変更前の日付・時間]
変更後:[変更後の日付・時間]

[施設が公開すると決めた変更理由] のため、日程を変更いたしました。お手数ですが、変更後の日程をご確認ください。

お問い合わせ:[職員が確認して記入]
職員が埋める箇所:行事名、変更前後の日時、施設が公開すると決めた理由、確認事項、正式な問い合わせ先です。利用者ごとの参加可否や状態は、この一斉文書にもAIへの入力にも入れません。

ケース2:気を使うお願い・面会ルール変更

最も慎重に扱う場面です。施設都合を「守ってください」で終えると命令調に見えます。一方で、理由を長く並べると、言い訳や責任回避に見えることがあります。

先に、施設で決定済みの内容を整理します。お願いの理由、開始日、家族にしてほしいこと、問い合わせ先。この4つが決まっていなければ、AIに文章を作らせる前に施設内で確認します。

1. コピペ用完成プロンプト
あなたは、介護施設の家族向け一斉連絡文を整える下書き係です。施設で決定済みの「持ち物のお願い」または「面会ルール変更」を、命令調にも他人事にもならない文章へ整理してください。

【大前提】
- 利用者名、心身の状態、ケア内容、介護記録、入退所情報を入力・推測しない
- 家族の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先を入力・推測しない
- 個別の利用者・家族に宛てた文章は作らない
- 医療、感染症対応、ケア方針、面会可否の基準をAIに考えさせない
- 施設が決定していないルール、例外、期限、効果、安全性、代替案を補わない
- AIの出力は下書きとし、最後は必ず職員が事実を確認して「施設の言葉」に直す

【文書の種類】
- [持ち物のお願い/面会ルール変更]

【施設で決定済みの内容】
- 対象:[全家族など個人を特定しない表現]
- お願い・変更すること:[1〜3項目]
- 開始日・期限:[決定済みの日時]
- 公開する理由:[施設が家族へ伝えると決めた一般的な説明]
- 例外:[決定済みなら記入/なければ「記載しない」]
- 問い合わせ方法:[公開済みの窓口/職員が後から記入]

【目的】
- 理由→決まったこと→家族にお願いすること、の順で伝える
- 家族へ責任を押しつける表現を避ける
- 未決定の対応や効果を約束しない

【出力形式】
1. 件名
2. 日頃の協力へのお礼
3. お願い・変更の理由
4. 決定事項(箇条書き)
5. 家族にお願いする行動
6. 問い合わせ先 [職員が記入]
7. 職員の公開前チェック

【文体】
- 柔らかいが曖昧にしない
- 250〜350字程度
- 「必ず」「一律」「ご理解ください」を連続させない
- 家族の事情を推測しない
2. AIの返し(例:面会ルール変更)
件名:面会方法変更のお願い

ご家族の皆さまには、日頃より施設運営にご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。

[開始日] より、面会方法を次のとおり変更いたします。
- [決定済みの面会方法]
- [決定済みの受付方法]
- [決定済みの時間]

皆さまにはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。

お問い合わせ:[職員が記入]
3-A. 1往復目の追加指示
「ご理解とご協力」を2回使わないでください。施設で決定済みの変更理由を、お願いより先に短く置いてください。面会の安全性や効果は断定せず、決まった手順だけを書いてください。
3-B. 2往復目の追加指示
命令調を避けつつ、開始日と家族にしてほしいことは曖昧にしないでください。「ご不便をおかけします」で終わらず、職員が施設の考えを1文加える空欄を残してください。例外は入力にないため作らないでください。
4. Before / After

Before:命令と施設都合だけが残る文

面会ルールを変更します。今後は新しいルールを必ず守ってください。施設運営上必要ですので、ご理解とご協力をお願いいたします。

After:理由とお願いを分けた文

件名:面会方法変更のお知らせ

ご家族の皆さまには、日頃よりご協力をいただき、ありがとうございます。

[施設が公開すると決めた理由] のため、[開始日] から面会方法を変更いたします。

変更後の方法
- [決定済みの受付方法]
- [決定済みの面会時間]
- [家族にお願いすること]

お手数をおかけしますが、ご来所前に内容をご確認ください。
[職員が確認して追記:施設として大切にしたい短い一文]

お問い合わせ:[正式な窓口]
職員が埋める箇所:公開すると決めた理由、開始日、決定済みの方法、家族にお願いする行動、正式な窓口、施設からの一言です。医療・感染症対応・ケア方針の根拠や内容をAIに作らせません。

持ち物のお願いも、同じ順番で直す

持ち物には必ず記名し、期限までに持参してください。紛失防止のため、ご協力をお願いします。
持ち物の確認をしやすくするため、[対象となる持ち物] へ [施設で決定済みの記載方法] をお願いいたします。お手数ですが、[期限] までにご準備ください。[職員が追記:施設からのお礼や補足]

紛失を防げる、安全になるなどの効果はAIに断定させません。施設が決めたお願いと理由だけを伝えます。

指し示すラボ博士
ラボ博士
お願い文では、優しさだけで曖昧にしないことも大切です。理由、開始日、してほしいことを分け、未決定の例外や効果は書きません。
マナブ
AIに気の利いた事情を足してもらうのではなく、施設で決めた内容を読みやすくするんですね。
気づくマナブ
介護施設のお知らせ文でAIに任せる下書きと人が守る利用者対応や最終確認を分け利用者情報を入力しないと示す図

ケース3:よく使う文書を「3空欄の型」にする

一度往復して施設の文体が整ったら、完成文ではなく3つの空欄を残した型として保存します。空欄は「あいさつ」「決まったこと」「施設からの一言」です。

1. コピペ用完成プロンプト
あなたは、介護施設の家族向け一斉連絡文を整える下書き係です。次の3空欄だけを職員が差し替えて使える共通テンプレートを作ってください。

【大前提】
- 利用者名、心身の状態、ケア内容、介護記録、入退所情報を入力・推測しない
- 家族の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先を入力・推測しない
- 個別の利用者・家族に宛てた文章は作らない
- 医療、感染症対応、ケア方針の内容をAIに考えさせない
- 施設が決定していない内容、例外、効果、約束を補わない
- AIの出力は下書きとし、最後は必ず職員が事実を確認して「施設の言葉」に直す

【3つの空欄】
1. [あいさつ:職員が記入]
2. [決まったこと:日時・対象・お願いを職員が記入]
3. [施設からの一言:職員が記入]

【形式】
- 件名
- あいさつ
- 決まったことを3行以内
- 施設からの一言
- 問い合わせ先 [職員が記入]
- 公開前チェック
2. AIの返し(例)
件名:[お知らせの件名]

[あいさつ:職員が記入]

[決まったこと:日時・対象・お願いを職員が記入]

[施設からの一言:職員が記入]

お問い合わせ:[職員が記入]
3. 直す追加指示
空欄以外の決まり文句を増やさず、どの一斉連絡にも使える短い型にしてください。個別利用者の情報を書く欄は作らないでください。公開前チェックに「決定済みか」「個人情報がないか」「職員が読んだか」を入れてください。
4. Before / After
ご家族の皆さまへ。お知らせがありますので、ご確認とご協力をお願いいたします。
件名:[何のお知らせか]
[あいさつ]
[施設で決定済みの内容]
[施設からの一言]
お問い合わせ:[正式な窓口]

保存するのは個別情報入りの完成文ではなく、空欄と確認欄だけです。

介護施設のお知らせ文を命令調のBeforeから理由とお願いが分かる施設の言葉のAfterへ直す図

安全に使うための4つの境界

入力しない:利用者名、心身の状態、ケア内容、介護記録、入退所情報、家族の連絡先、未公開情報はAIに入れません。
個別文書に使わない:体調報告、介護記録、申し送り、個別の事故・苦情対応は、この方法の対象外です。
判断させない:医療、感染症対応、ケア方針、面会可否の基準などをAIに考えさせません。施設が決定済みの内容だけを文章化します。
任せきらない:AIの出力は必ず職員が確認し、事実、温度、施設の普段の言葉へ直します。

AIは事務文書の下書き係です。利用者と家族に向き合い、事情を受け止め、責任を持って言葉を出すのは人です。書類を減らすこと自体ではなく、向き合う時間と言葉の温度を守るために使います。

マナブ
一斉連絡だけに絞り、決定事項をAIと往復して整える。個別の利用者情報は最初から扱わないんですね。
うなずくマナブ
ほほえむラボ博士
ラボ博士
その境界が出発点です。今日1枚、個人情報を含まないお知らせで、指示→返し→直す→職員確認までを試しましょう。
利用者情報をAIに入れず今日1枚のお知らせ文で往復を試す介護施設向け次の一歩の図

まとめ:今日1枚を、施設の言葉へ仕上げる

家族向けのお知らせ文でAIを使う時は、完成品を一発で求めません。施設で決定済みの内容だけを渡し、返ってきた下書きへ「理由を先に」「もっと柔らかく」「してほしいことを明確に」と追加します。

利用者の名前や状態は入れない。個別文書には使わない。医療・ケアの中身は考えさせない。最後は必ず職員が確認する。この順番を守ります。

まずはケース1のプロンプトを使い、個人情報を含まない行事案内を1枚だけ作ってみてください。施設からの最後の一文は、職員が書きます。

次の一歩:施設の業務に合わせて指示を組み替えたい方は、「AIへの指示を背景・ゴール・形式・制約の4要素で作る方法」へ進んでください。業種別シリーズの続きは noteマガジン で追えます。
AM

非エンジニアの経営者。Codex × Claude Code × ChatGPT を"部下"として使い倒し、現場で起きたことをそのまま記録しています。

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