非エンジニアのAI実務術 2026年6月30日 · 読了 11分

葬祭業にAIは無理?司会原稿・案内文の"たたき台"をAIに任せる方法【コピペ例つき】

葬祭業でAIを安全に使う方法を、司会原稿・案内文・議事録の完成プロンプト3本で解説。個人情報を入れず、AIは下書き、人が最後に確認する実践例です。

葬祭業にAIは無理?司会原稿・案内文の"たたき台"をAIに任せる方法【コピペ例つき】

「葬祭業にAIは合わない」。私もそう思っていました。遺族に向き合う仕事を、機械に任せるものではないからです。

ところが、現場を見直すと、毎回ゼロから整えている文章がたくさんありました。司会進行の雛形、式場の案内文、資料送付の礼状、打合せ後の議事録。弔いそのものではなく、その周りにある裏方の文章仕事です。

AIに任せる場所を間違えなければ、人の仕事を奪うのではなく、人が遺族と向き合う時間を守れます。この記事では、葬祭業ですぐ試せる3本の完成プロンプトを、Before/Afterと差し替え箇所つきで紹介します。

葬祭業で司会原稿や案内文など裏方の文章をAIが下書きし人が仕上げる図

毎回似ているのに、文章づくりで時間が溶ける

司会原稿や案内文には、自社で使う言い回しや確認順があります。それでも案件ごとに文書を開き、過去の原稿を探し、必要な箇所を抜き出して整えるうちに時間が過ぎます。

遅い時間に原稿を見直していると、文章の骨組みを作る作業と、目の前の方へ向き合う仕事が同じ重さで並んでしまいます。本当に人が時間を使うべき場所は、そこではありません。

葬祭業で司会原稿と案内文づくりに時間が溶ける様子を時計と書類で示す図
マナブ
葬祭業の文章をAIに書かせると、冷たい印象になりませんか。
考えるマナブ
説明するラボ博士
ラボ博士
任せるのは弔いの言葉ではありません。定型文の骨組み、見出し、確認欄など、裏方の下書きだけです。心を込める部分と最終判断は、必ず人が担います。

AIに任せる文章と、人が守る部分を分ける

線引きは明確です。AIへ渡してよいのは、個別事情を含まない雛形や構成です。故人名、遺族情報、連絡先、具体的な事情、未公開情報は入力しません。AIが作った空欄つきの雛形へ、人が確認済みの情報を後から入れます。

弔辞、遺族への言葉、弔いの心はAIに書かせません。宗派や地域の作法も、AIの説明を正解として扱わず、必ず社内の責任者や関係者へ確認します。

AIに任せる裏方の文章と人が守る遺族対応や弔いの心を分ける線引き図

業務A:司会進行・式次第のたたき台を作る

最初に試すなら、司会進行の「個別情報を入れる前の雛形」です。完成原稿を任せるのではなく、確認順と差し込み欄がそろった土台を作らせます。

1. 完成プロンプト
あなたは、葬祭業の社内文書を整理する補助者です。個別の式でそのまま読む原稿ではなく、司会担当者が確認しながら仕上げる「司会進行・式次第の共通雛形」を作ってください。

【大前提】
- 故人名、遺族情報、連絡先、会場名などの個人情報・機密情報は扱わない
- 弔辞、遺族への個別の言葉、故人の人柄や思い出は書かない
- 宗派・地域・会場によって異なる作法は断定せず「要確認」とする
- すべての固有情報は [人が記入] の空欄にする
- AIの出力は必ず責任者と司会担当者が確認する前提にする

【目的】
司会担当者が、必要事項の確認漏れを防ぎながら、自社の言葉で原稿を仕上げられる土台を作る。

【作ってほしいもの】
次の順番で、各場面を1つずつ作ってください。
1. 開式前の事務案内
2. 開式の案内
3. 進行が切り替わる場面の案内
4. 閉式後の事務案内

【各場面の形式】
- 場面名
- 読み上げ用の短い定型文
- [人が記入] の差し込み欄
- 司会担当者の確認事項

【文体】
- 落ち着いた、簡潔な敬語
- 過度に感情を表現しない
- 自社の言い回しに差し替えやすい短文

【今回の入力】
- 用途:社内で共通利用する空欄つき雛形
- 個別情報:入力しない
- 自社表現:後から人が差し替える
- 作法:地域・宗派・会場ごとに人が確認する
2. Before / After

Before:曖昧な一言

葬儀の司会原稿を作って。

これではAIが個別の式を想像し、確認していない進行や表現を補うおそれがあります。

After:人が仕上げられる実文

【場面】開式前の事務案内
【読み上げ用】
「まもなく [人が記入:進行名称] を始めます。皆さまには [人が記入:会場での案内事項] について、ご協力をお願いいたします。」

【司会担当者の確認】
- 進行名称は、責任者が確認した表記か
- 会場案内は当日の運用と一致しているか
- 地域・宗派・会場固有の作法を断定していないか
- 個別の呼びかけや弔いの言葉は、人が考えているか
3. 人が埋める箇所
[進行名称]、[会場での案内事項]、自社の定型表現、当日の確認事項だけを、責任者が確認してから入れます。故人・遺族の情報は、AIへの入力欄には入れません。
司会原稿の雛形をプロンプトからAI下書きへ進め人が固有情報を入れる手順図

業務B:案内文・礼状の定型部分を作る

次は、日時や連絡先を入れる前の事務案内と、資料送付などに添える礼状の定型部分です。個別の心情に触れる文章は人が書き、AIには案内の順番と空欄を整えさせます。

1. 完成プロンプト
あなたは、葬祭業の事務文書を整理する補助者です。参列者向け案内文と、資料送付時に添える礼状の「空欄つき定型雛形」を1本ずつ作ってください。

【大前提】
- 故人名、遺族情報、住所、連絡先などは入力・推測しない
- お悔やみ、弔辞、遺族への個別の言葉は作らない
- 固有情報はすべて [人が記入] と表示する
- 宗派・地域・会場で異なる案内は「責任者確認」と表示する
- AIの出力は必ず人が読み、事実と表現を確認する

【案内文の目的】
読み手が、必要な準備、当日の流れ、問い合わせ方法を迷わず確認できるようにする。

【礼状の目的】
資料を受け取ったこと、または資料を送付したことを事務的かつ丁寧に伝える。個別の気持ちを代筆しない。

【形式】
1. 件名
2. 宛名 [人が記入]
3. 用件を伝える本文
4. 日時・場所・持ち物・問い合わせ先の確認欄
5. 差出人 [人が記入]
6. 人が確認する項目

【文体】
- 簡潔で落ち着いた敬語
- 難しい言葉を避ける
- 1文を短くする

【今回の入力】
- 案内の種類:当日の事務案内
- 礼状の種類:資料送付に添える定型文
- 個別情報:入力しない
2. Before / After

Before:情報の置き場がない文

当日はよろしくお願いします。詳しいことは会場でご案内しますので、お気をつけてお越しください。

何を準備し、どこを確認すればよいかが読み手に伝わりません。

After:確認欄が見える実文

件名:[人が記入:ご案内の件名]

[人が記入:宛名] 様

当日のご案内をお送りします。以下の内容をご確認ください。

日時:[人が記入]
場所:[人が記入]
ご準備いただくもの:[人が記入/ない場合は削除]
お問い合わせ先:[人が記入]

地域・宗派・会場により異なる事項は、責任者確認後に追記してください。

[人が記入:差出人]
3. 人が埋める箇所
件名、宛名、日時、場所、持ち物、問い合わせ先、差出人を人が入れます。個別の気持ちや遺族への言葉を添える場合は、AIに作らせず担当者本人が書きます。

業務C:打合せ議事録・当番・研修メモを整理する

3本目は、社内の情報整理です。走り書きのメモを、決定事項、未決事項、担当、確認期限に分けます。ここでも実名や案件情報は外し、役割名や仮名へ置き換えます。

1. 完成プロンプト
あなたは、葬祭業の社内業務メモを整理する補助者です。次の架空メモを、引き継ぎに使える社内共有文へ整理してください。

【大前提】
- 故人・遺族・顧客の個人情報、実名、連絡先、具体的事情は扱わない
- 未公開情報や機密情報は入れない
- メモにない事実を推測で補わない
- 不明な担当・期限は「要確認」とする
- AIの出力は必ず担当者が確認する

【目的】
欠席者が、決まったこと、次に動く担当、未決事項を短時間で確認できるようにする。

【形式】
1. 3行要約
2. 決定事項
3. 未決事項
4. ToDo表(役割名/内容/期限/確認先)
5. 研修・当番へ残す注意点

【架空メモ】
- 案内文の共通雛形を見直す
- 初稿は担当A、確認は責任者
- 次回研修で読み合わせをする
- 当番表の引き継ぎ欄が分かりにくいので項目名を変える案
- 変更日は未定
- 地域・宗派で異なる案内は共通雛形に断定して書かない
2. Before / After

Before:発言順に並べただけ

案内文を見直す話が出た。担当Aが作る。研修で読む。当番表も変えるかもしれない。日はまだ決まっていない。

After:次の行動が見える実文

【3行要約】
- 案内文の共通雛形を見直す
- 担当Aが初稿を作り、責任者が確認する
- 研修で読み合わせ後、当番表の変更案を検討する

【ToDo】
担当A|案内文の初稿作成|期限:要確認|確認先:責任者
研修担当|読み合わせの準備|期限:次回研修前|確認先:責任者
当番表担当|引き継ぎ欄の項目名案を整理|期限:要確認|確認先:管理者

【注意】
地域・宗派で異なる案内は共通雛形で断定せず、使用前に確認する。
3. 人が埋める箇所
担当は実名ではなく役割名でAIへ渡し、出力後に社内で差し替えます。期限、確認先、研修日、当番表の変更日は、決まっている事実だけを人が入力します。
葬祭業でAIを使える司会原稿、案内礼状、議事録当番の3業務を示す図

安全に使うための4つの約束

入力しない:故人名、遺族情報、連絡先、個別事情、顧客情報、未公開情報、機密情報はAIに入れません。
書かせない:弔辞、遺族への言葉、弔いの心はAIに書かせません。
断定させない:地域、宗派、宗教儀礼、会場で異なる作法は、人が関係者へ確認します。
任せきらない:AIの出力は必ず人が確認し、自社の表現と当日の事実へ直します。

AIの役割は、空欄つきの下書きを早く用意するところまでです。最終責任を持つのは人です。この順番を崩さなければ、速さと丁寧さを両立しやすくなります。

マナブ
AIに全部任せるのではなく、人が大切な仕事に集中するために、文章の土台だけ任せるんですね。
うなずくマナブ
ほほえむラボ博士
ラボ博士
その線引きができれば、葬祭業でもAIは役に立ちます。まずは個別情報のない司会原稿の雛形を1本作り、人の確認手順まで一緒に整えましょう。
葬祭業で個人情報をAIに入れず人が確認して指示の型へ進む図

まとめ:AIは裏方、人は遺族と向き合う

葬祭業は、AIに縁遠い仕事ではありません。ただし、使う場所を選ぶ必要があります。司会原稿の共通雛形、案内文の確認欄、議事録の整理はAIへ。遺族への言葉、弔いの心、宗派や地域に関わる判断は人へ。

まずは、業務Aの完成プロンプトをそのままコピーし、個別情報を一切入れずに「司会進行の共通雛形」を作ってみてください。出力を自社の言葉へ直し、責任者が確認するところまでが1セットです。

次の一歩:自社の仕事に合わせて指示を書き換えたい方は、「AIへの指示を背景・ゴール・形式・制約の4要素で作る方法」へ進んでください。業種別シリーズの続きは noteマガジン で追えます。
AM

非エンジニアの経営者。Codex × Claude Code × ChatGPT を"部下"として使い倒し、現場で起きたことをそのまま記録しています。

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