非エンジニアのAI実務術 2026年7月12日 · 読了 9分

AIと美文字練習帳を作ってminneに開店した話|商品づくり二人三脚の舞台裏

特別な技術がなくても、AIに下ごしらえを任せて自分は「決める・検品する」に徹すれば副業商品は売り場に並びます。美文字練習帳をminneに出品するまでの5工程の分業と、そのまま出せなかった失敗談を全部公開します。

AIと美文字練習帳を作ってminneに開店した話|商品づくり二人三脚の舞台裏

7月4日の夜、minneの出品画面で「公開する」ボタンの前に指が止まりました。並んでいるのは、字に自信がない私が作った美文字の練習帳。下ごしらえを一緒にやったのは、人ではなくAIです。

先に、この記事の結論を言います。特別な技術がなくても、AIに下ごしらえを任せて、自分は「決める・検品する」に徹すれば、副業の商品は売り場に並べられます。私は葬儀屋で、デザインの経験も、物販の経験もありません。それでも今、ハンドメイド通販のminneに「ふみくら堂」という店を開き、9商品を並べています。

この記事では、その舞台裏を工程ごとに全部見せます。AIに任せた工程、私が握った工程、そのまま出せなくてつまずいた話まで。読み終わったら、あなたも今夜「商品案10個出し」の一歩が踏み出せるはずです。

字が下手な私が、なぜ美文字練習帳だったのか

葬祭業は、手書きの字が信頼に直結する現場です。芳名帳、のし袋、香典袋の表書き。ご遺族もお客様も、受付で必ず字を目にします。だから「字に自信がない」という悩みは、私自身の毎日の困りごとでした。

商品を考えるとき、ここで考え方をひとつ転換しました。「特技から商品を作る」のではありません。自分の困りごと × AIの得意(文面と構成の下ごしらえ) × 自分が良し悪しを検品できる分野。この3つが重なるところで選ぶ。字の悩みは私の日常で、お手本の文面づくりはAIの得意で、現場で表書きを見てきた私は仕上がりの良し悪しが分かります。だから美文字練習帳でした。

特技がないことは、条件ではなかったのです。

商品づくりの分業表——AIに任せた工程、私が握った工程

工程は5つ。どこをAIに任せ、どこを人が握ったか、先に全体を見てください。

商品づくりの企画から公開までの5工程で、AIが下ごしらえし人が決めて検品する分担を示す図

最初の「企画の案出し」で使った指示は、あとで紹介するプロンプト①とほぼ同じものです。AIは商品案を10個、想定するお客様と使う場面つきで出してきます。玉石混交ですが、それでいい。AIはたたき台を量で出す係、人は採用・却下を決める係です。10案から1つ選ぶのは、ゼロから1つ考えるより、ずっと楽でした。

中身の構成もお手本の文面も、同じ往復です。AIの初案に「表書きは縦書きの見本で」「季節の挨拶は入れない」と注文を返して直していく。1商品あたりの往復は数回。夜の1〜2時間で、練習帳1冊分のたたき台が形になりました。

つまずいた話——AIの成果物をそのまま出せなかった3つの理由

順調な話ばかりではありません。AIの成果物は、そのままでは3回、売り物になりませんでした。

1つめは誤字。文例の中に、変換ミスのような誤りが紛れていました。2つめはレイアウト崩れ。表紙のタイトルが変な位置で折り返されて、2行に割れていました。3つめが一番の要注意で、言い過ぎの表現です。

AIが最初に出した言い過ぎの出品説明文と、事実だけに直した公開版を比べる図

AIに説明文を頼むと、頼んでもいないのに「必ず上達します」「大人気」と書いてきます。私の練習帳に、そんな実績はまだありません。無い事実を書いて売るのは、お客様への裏切りです。ここは全部削って、事実だけを残しました。

マナブ
誤字もレイアウト崩れも、画面で確認していたのに残っていたんですか?
考えるマナブ
説明するラボ博士
ラボ博士
画面だと流し読みになるんです。紙に印刷すると目の動きが変わって、粗が急に見えてきます。買った人は印刷して使う商品ですから、検品も同じ条件で。「売る前に実物を印刷して見る」が最後の砦でした。

開店当日までの実務——出品文・価格・見本画像

売り場に並べるまでの実務も、分業は同じです。出品の説明文はAIと作り、言い過ぎを削って仕上げました。タグは「ペン字」「なぞり書き」「筆ペン」など、お客様が検索で打ちそうな言葉をAIに10個出させて、その中から5個を私が選ぶ。ここでもAIは候補係、選ぶのは人です。見本画像には「見本」の透かしを入れています。ダウンロード商品なので、画像がそのまま持っていかれない用心です。

価格は500〜800円にしました。ここはAIに聞いても答えは出ません。似た商品の相場を自分で眺めて、最後は自分で決めました。公開ボタンも毎回、自分の指で押しています。1商品から始めて、いまは9商品。売れ行きの数字は、正直に書くと「まだこれから」です。それでも、売り場に自分の店があるという事実は、次の商品を作る力になっています。

AIに任せること、人が守ること——商品販売版の線引き

ブログの文章と違って、商品にはお金を払う人がいます。だから線引きは、いつもより一段はっきり引いています。

商品販売でAIに任せる案出しや文面と、人が守る実績表現・検品・公開ボタンを分ける対比図
実在の名前を入れない:お手本の文面は「○○様」の穴埋め型で作らせます。実在のお客様・故人・取引先の名前や事情はAIに入れません。
実績と効果の表現を任せない:「売れています」「必ず上達」のような無い事実・断定はAIに書かせず、出品前に人が全文を確認します。
価格と公開ボタンは人:AIは下書きと案出しまで。値付けと「公開する」は自分で決めて自分で押します。
登録情報を渡さない:販売サイトのログイン情報や振込口座は、AIとのやり取りに一切出しません。

一言でまとめると、こうです。買う人がいる商品は、AIの下書きのまま出さない。

そのまま使える指示文3ケース——あなたの「売れる種」を探す

〔 〕の中を自分の業種と困りごとに置き換えれば、そのまま使えます。

① 商品の種出し

あなたは副業商品の企画係です。
私の本業は〔業種〕で、仕事でよくある困りごとは〔例: 手書きの字に自信がない〕です。
この困りごとを持つ人向けに、PDFや印刷物の形で500〜1,000円で売れる商品案を10個、想定するお客様・使う場面・商品名案つきで出してください。
実績や効果の宣伝文句は書かず、案だけにしてください。

② 出品説明文

ハンドメイド通販サイトに出す商品説明文を作ってください。
商品は〔例: 大人向け美文字練習帳PDF・A4に印刷して使う〕、買う人は〔例: 字に自信がない40代〕です。
①どんな悩みに応えるか②中身の構成③使い方④注意書き(ダウンロード商品・印刷して使う)の順に400字で。
「必ず」「絶対」などの断定と、無い実績は書かないでください。

③ 手書き用のお手本文面

一筆箋にそのまま手書きできる短い文面を、〔お礼・お詫び・季節の挨拶〕の3場面×各3本、丁寧さの度合いを変えて作ってください。
相手の名前は〔○○様〕のままにして、実在の人名・会社名は入れないでください。

今夜やることは、2つだけです。

①AIに商品案を10個出させる:プロンプト①に自分の業種と困りごとを入れて送るだけ。選ぶのは明日でかまいません。
②売る前は必ず実物を印刷して検品する:画面の確認では通りません。紙で見るのが最後の砦です。
できあがった実物を見てみたい方へ。
この記事で作っていた練習帳は、minneの「ふみくら堂」に並んでいます。冠婚葬祭の表書きに特化した「香典袋・のし袋の表書き なぞり書き練習帳」が看板商品です。

AIとの二人三脚の全体像は「このブログ、人間が書いていません」で、文面づくりの実例は「暑中見舞い・夏のごあいさつ文をAIと書く【例文つき】」でまとめています。
※業種別の「AIコピペ集」(有料note)も少しずつ増やしています。
AM

非エンジニアの経営者。Codex × Claude Code × ChatGPT を"部下"として使い倒し、現場で起きたことをそのまま記録しています。

運営者について
NOTE

ブログでは手順や考え方を整理し、noteでは失敗談や試行錯誤を読み物として残しています。AIを仕事に入れる過程を追いたい方は、noteもあわせてご覧ください。

note.com/ai_manager_lab