ホームページの「当店について」、地図サービスの紹介欄、SNSのプロフィール。他人の店の紹介ならすらすら書けそうなのに、自分の店の紹介文だけは、何年も空欄か、開店時に書いたきり——そんな方は多いはずです。
書けない理由ははっきりしています。自分で自分を褒めるのは照れくさい。近すぎて何が特徴か選べない。がんばって書くと今度は広告っぽく盛れてしまう。
解決はシンプルです。紹介文を自慢ではなく「初めての人への案内」と捉え直し、確認できる事実だけで組むこと。事実の整理と並べ替えはAIに任せ、事実の裏付けと誇大チェックは店が担います。「No.1」「最高」「絶対」は使いません。

「こだわりの逸品」では、何も伝わらない
紹介文でよく見る言葉を並べてみます。「こだわりの」「厳選した」「心を込めて」「アットホームな」。どれも噓ではないのでしょうが、読んだ人の頭に何も残りません。どの店にも貼れる言葉だからです。
一方、「豆は当日の朝に焙煎」「座席は12席」「創業32年」は、その店にしか書けません。初めての人が知りたいのは、褒め言葉ではなく、行くかどうかを決められる事実です。



扱うのは店の紹介文。誇大表現は最初から禁止する
この記事で扱わない:効果や仕上がりを約束する文章(施術・健康・美容の効果表現は業法に触れるおそれがあるため、業界のルールと専門家に従います)。他店との比較・順位づけも書きません。
受賞歴・メディア掲載・数字の実績は、事実確認できるものだけを、年月とセットで書きます。「たぶんそうだった」は書きません。
基本は4段階:事実、下書き、直す、確認
店の基本情報を箇条書きで渡すと、AIが「初めての人が知りたい順」に並べ替えます。誇大な言葉が混ざれば事実に置き換えさせ、最後に裏付けと数字を店で確認し、店主の一言を自分で足します。

ケース1:基本の紹介文(地図サービス・ホームページ)
例はすべて創作です。実在の店ではありません。
あなたは、小さなお店の紹介文を整える下書き係です。次の事実だけを使って、初めての人向けの紹介文を作ってください。 【大前提】 - 渡した事実だけを使う。褒め言葉・評判・実績を勝手に足さない - 「No.1」「最高」「絶対」「名店」「絶品」などの誇大な言葉を使わない - 効果・仕上がりの約束を書かない - 他店との比較をしない - 不足している情報があれば[店で確認:〇〇]と残す 【店の事実】 - 業種:[例:自家焙煎の喫茶店] - 場所・行き方:[例:○○駅から徒歩5分] - 営業時間・定休日:[例:8時〜18時・水曜休] - 創業・席数など:[例:創業32年・座席12席] - やっていること:[例:豆は当日の朝に店内で焙煎] 【出力形式】 1. 地図サービス用(150字前後) 2. ホームページ用(300字前後) 3. [店で確認]の一覧 【文体】 - 落ち着いた、押しつけない調子
【地図サービス用】 ○○駅から徒歩5分の自家焙煎喫茶店です。創業32年、座席は12席。豆はその日の朝に店内で焙煎しています。営業は8時〜18時、水曜定休。 【ホームページ用】 当店は、○○駅から徒歩5分の場所で32年続く喫茶店です。 コーヒー豆は、その日に使う分だけを毎朝店内で焙煎しています。 座席は12席。営業時間は8時から18時、水曜日がお休みです。 [店で確認:駐車場の有無、支払い方法]3. 直す追加指示
地図サービス用の1文目を、検索で見つけた人が最初に知りたいこと(何の店か+場所)だけに絞ってください。「当店は」で始まる文が続かないよう、主語を変化させてください。4. Before / After
Before:どの店にも貼れる文
こだわりの厳選豆を使用した、アットホームな雰囲気の喫茶店です。心を込めた一杯をぜひご賞味ください。
After:この店にしか書けない文
○○駅から徒歩5分の自家焙煎喫茶店。創業32年、座席12席。 豆はその日の朝に、店内で焙煎しています。 営業8時〜18時/水曜休。
ケース2:「選ばれる理由」を事実で書く
ここが本編の中心です。「うちの強みって何だろう」で手が止まる方は、AIに聞き出させてから、事実に翻訳します。
あなたは、小さなお店の紹介文づくりを手伝う聞き取り係です。私の店の「特徴になり得る事実」を引き出すため、質問をしてください。 【大前提】 - 「強みは何ですか」と抽象的に聞かない。具体的な行動・数字・場面を聞く - 質問は5個ずつ。私が答えたら、答えを「紹介文に使える事実」の形に言い換えて見せる - 私の答えに無いことを足さない。誇大な言葉に変換しない 【店の概要】 - 業種:[例:クリーニング店] - 客層:[例:近所の常連が中心] 【質問の観点の例】 - 毎日必ずやっている手間は? - お客様によく驚かれる(喜ばれる)ことは? - 続けて何年になる仕事は? - 断っていること・やらないと決めていることは?
質問です。 1. 開店前に毎日やっている作業はありますか? 2. お客様に「え、そこまでやるの」と言われたことは? 3. この道は何年目ですか? 4. あえて断っている注文・やらない加工はありますか? 5. 常連さんは何をきっかけに通い始めた方が多いですか? (回答後の言い換え例) 回答「ボタンが取れかけてたら勝手に付け直しちゃう」 → 紹介文の事実:「ほつれたボタンは、お直しして仕上げます(無料)」 [店で確認:無料と書いてよいか]
3-A:抽象語の翻訳
私が「丁寧にやってます」と答えた部分を、そのまま「丁寧」と書かず、「具体的に何をしているか」を追加で質問して、行動の事実に置き換えてください。
3-B:誇大の最終チェック
完成した紹介文から「No.1」「最高」「絶対」「どこよりも」「必ず」を探して、あれば削除か事実への置き換えを提案してください。比較の表現(他店より〜)も同様にしてください。
3-C:裏付けの棚卸し
紹介文に入れた事実のうち、「数字」「年月」「実績」に当たるものを一覧にしてください。私がひとつずつ裏付けを確認します。確認できなかったものは削ります。4. Before / After
Before:抽象的な自慢
当店は地域で愛され続けるクリーニング店です。真心こめた丁寧な仕上がりには自信があります!
After:行動の事実
この道38年の職人が、1点ずつ検品しながら仕上げるクリーニング店です。 ほつれたボタンは、お直しして仕上げます。 シミは素材を見て、できること・できないことを先にお伝えします。



ケース3:紹介文を「3空欄の型」で媒体別に使い回す
紹介文は1本書けば終わりではなく、媒体ごとに長さと順番を変えて使い回します。
あなたは、お店の紹介文の型を作る下書き係です。次の3空欄を埋めれば、媒体別の紹介文が作れるテンプレートを作ってください。 【大前提】 - 空欄以外の定型句を増やさない - 誇大な言葉・比較・効果の約束を書く欄を作らない - 各媒体の長さ:地図サービス150字/SNSプロフィール80字/ホームページ300字 【3つの空欄】 1. [基本の事実:何の店・場所・営業時間] 2. [特徴の事実:行動・数字・年月で2〜3個] 3. [店主の一言:自分で書く] 【形式】 - 3空欄 - 媒体別の組み立て方(どの空欄をどの順で使うか) - 公開前チェック
【3空欄】 1. 基本の事実:[何の店/場所/営業時間・定休日] 2. 特徴の事実:[行動・数字・年月で2〜3個] 3. 店主の一言:[自分で書く] 【媒体別の組み立て】 - 地図サービス:1→2の1個目(150字) - SNSプロフィール:1の要約のみ(80字) - ホームページ:1→2全部→3(300字) 公開前チェック: □ 数字・年月の裏付けを確認したか □ 誇大な言葉・比較が無いか □ 営業時間は今も正しいか □ 更新した日をメモしたか3. 直す追加指示
求人(aml-019の募集文)にも流用できるよう、「一緒に働く人向け」の組み立て(2の事実+職場の様子)も1パターン足してください。4. Before / After
(媒体ごとにバラバラの紹介文。地図の営業時間は3年前のまま)
3空欄を1か所直せば、全媒体の紹介文が同じ事実で揃う。 営業時間の変更も、チェックリストで更新漏れなし。
紹介文は「書く」より「更新し続ける」方が難しい文書です。型と更新日メモをセットにしておくと、古い情報の事故が防げます。

安全に使うための4つの境界
裏付けの無い実績を書かない:受賞・掲載・数字は、確認できたものだけを年月つきで。あいまいな記憶では書きません。
効果を約束しない:仕上がり・効果・成果の断定は、業種のルール(美容・健康関連は特に)に従い、書きません。
更新は店の仕事:営業時間・定休日・価格の変更は、変わった日に店が直します。古い紹介文は、無いより信用を下げます。
紹介文は、店が寝ている間も働き続ける営業係です。盛った言葉ではなく、確認できる事実で語らせるほど、長く効きます。



まとめ:自慢は書けなくても、事実は書ける
自分の店を褒める文章は、誰でも照れます。でも、創業年と席数と毎朝やっていることを書くのに、照れは要りません。紹介文を「自慢」から「案内」に捉え直し、事実の整理をAIに任せれば、何年も空欄だった紹介欄は今日埋まります。
誇大は書かない。裏付けの無い実績は書かない。効果は約束しない。変わったら更新する。この線を守った紹介文が、いちばん長く店の役に立ちます。



