非エンジニアのAI実務術 2026年7月5日 · 読了 12分

お客様アンケート、何を聞けばいい?質問文とお願い文をAIと作る方法【ひな型つき】

お客様アンケートの質問文とお願い文をAIと作る方法。知りたいことを1つに絞り、3分で答えられる5問に翻訳。答えにくい質問の練り直し、誘導の消し方、季節ごとに使える型まで。個人を特定せず、回答の約束は店が守ります。

お客様アンケート、何を聞けばいい?質問文とお願い文をAIと作る方法【ひな型つき】

「お客様アンケートをやってみたい。でも、何を聞けばいいのか分からない」。意見箱を置いたものの空のまま、アンケート用紙を作りかけてはやめる——多くの小さなお店で、お客様の声集めはこうして止まっています。

アンケートづくりの本体は、文章ではなく翻訳です。店が知りたいこと(なぜ来てくれたのか、何が不便か)を、お客様が3分で答えられる質問に訳す。この翻訳は、AIが手伝える仕事です。

ただし、個人を特定する質問は作りません。回答の保管と使い道は店が決めます。そして、集まった回答用紙を無断でAIに貼ることもしません。声を寄せてくれた人との約束は、人が守ります。

お客様アンケートの質問文とお願い文をAIと作る図

「満足度はいかがですか」では、何も分からない

ありがちなアンケートには2つの型があります。1つは「満足度を5段階で」だけの、短すぎて何も分からない型。もう1つは20問もあって、途中で投げ出される型。

どちらも原因は同じで、「店が何を知りたいか」を決めずに作っているからです。知りたいことを1つに絞れば、質問は5問で足ります。5問なら3分で答えられ、3分なら答えてもらえます。

お客様の声を聞くのがこわくてアンケートを後回しにする様子の図
マナブ
集まった回答用紙をまとめてAIに読ませて、分析してもらうのはどうですか?手書きの集計は大変なので。
考えるマナブ
説明するラボ博士
ラボ博士
そこは慎重に。自由記入の回答には、書いた人が特定できる内容(名前・出来事・日時)が混ざります。回答をAIなどの外部サービスに入れるなら、アンケートのお願い文にその旨を書いて、了解を得ておくのが筋です。黙って貼るのはやめましょう。選択式の集計なら、件数を数えるだけなので手元で十分です。

扱うのは店のアンケート。匿名の約束は破らない

この記事で扱う:お店・事業所がお客様に配る満足度・きっかけ・改善点のアンケート(紙・二次元コードのフォーム)の質問文とお願い文づくり。
この記事で扱わない:個人を特定する情報(氏名・住所・連絡先)の収集を伴う調査(会員登録などは別の仕組みと規約で行います)。謝礼・抽選を付ける場合の表示ルールは、商工会や専門家に確認します。

アンケートは「匿名で、率直に」が一番集まります。名前欄は作らないか、完全な任意にします。

基本は4段階:目的、翻訳、点検、試し

知りたいことを1つに絞って渡すと、AIが答えやすい質問に翻訳します。個人を特定する質問と誘導する聞き方を消させ、最後に自分で答えてみて、3分で終わるかを確かめてから配ります。

目的を決めて質問に翻訳し誘導を消して自分で試すアンケートづくりの流れ図

ケース1:基本の5問アンケートを作る

例はすべて創作です。

1. コピペ用完成プロンプト
あなたは、小さなお店のアンケートの質問文を作る翻訳係です。店が知りたいことを、お客様が3分で答えられる5問に翻訳してください。

【大前提】
- 個人を特定する質問(氏名・住所・連絡先・勤務先)を作らない
- 「良い」と答えさせる誘導(「当店自慢の〜はいかがでしたか」等)をしない
- 質問は5問まで。選択式4問+自由記入1問
- 自由記入は任意と明記する
- 専門用語を使わず、お客様の言葉で書く

【店の情報と目的】
- 店:[例:地域の弁当店]
- 一番知りたいこと:[例:新規のお客様が何をきっかけに来てくれたか]

【出力形式】
1. 質問5問(選択肢つき)
2. 回答にかかる時間の見積もり
3. この5問で「知りたいこと」が分かる理由
2. AIの返し(例)
Q1. 当店をどこで知りましたか?(1つ選択)
 □通りがかり □知人の紹介 □SNS □チラシ □その他

Q2. 今日は何回目のご利用ですか?
 □初めて □2〜3回目 □それ以上

Q3. 今日選んだ理由に近いものは?(いくつでも)
 □近いから □値段 □メニュー □時間がなかった □その他

Q4. 来店しやすい時間帯は?
 □朝 □昼 □夕方 □夜

Q5.(任意)あれば教えてください:あったらうれしいメニューやサービス
 [自由記入]

見積もり:2〜3分
3. 直す追加指示
Q4は今の目的(新規のきっかけ)とずれているので、「今日、他の候補と迷いましたか?」のような、選ばれた理由を深める質問に差し替え案を2つください。
4. Before / After

Before:何も分からない1問

当店のサービスにご満足いただけましたか?
 □大変満足 □満足 □普通 □不満

After:次の一手につながる5問

きっかけ/利用回数/選んだ理由/迷った候補/自由記入(任意)。
「満足かどうか」ではなく「なぜ選ばれたか」が分かる構成。
店の人がやる箇所:「一番知りたいこと」を1つ決めることと、配る前に自分で答えてみることです。自分で答えて3分を超えたら、質問を削ります。

ケース2:答えやすい質問への練り直し

ここが本編の中心です。店が聞きたいことと、お客様が答えられることの間には、ずれがあります。「何が不満ですか」は、聞きたいことであって、答えられる質問ではありません

1. コピペ用完成プロンプト
あなたは、アンケートの質問を「答えやすい形」に練り直す翻訳係です。次の質問案を点検して、直してください。

【大前提】
- 個人を特定する質問を作らない
- 「不満はありますか」のような、答えると角が立つ聞き方を、場面や選択で答えられる形に変える
- 誘導(褒めさせる前提の聞き方)を消す
- 記憶にない事を聞かない(「3か月前の来店時は〜」等)
- 1つの質問で2つの事を聞かない

【質問案】
[例:
・当店の接客に不満な点はありますか?
・当店自慢の新メニューはお口に合いましたか?
・価格と品質とサービスについてどう思いますか?]

【出力形式】
1. 各質問の問題点(1行ずつ)
2. 練り直した質問(選択肢つき)
3. それでも聞けないこと(アンケートに向かない事項)
2. AIの返し(例)
【問題点】
・「不満はありますか」→ 面と向かって不満とは書きにくい
・「自慢の新メニュー」→ 褒める前提の誘導
・「価格と品質とサービス」→ 3つを1問で聞いている

【練り直し】
Q. 今日、少しでも「おや?」と思ったことがあれば教えてください(任意・サービス向上のためだけに使います)
Q. 新メニューを注文しましたか? →(した方へ)また注文したいと思いますか? □思う □どちらとも □思わない
Q. 価格について:□納得 □やや高い □高い(品質・サービスは別の質問に分割)

【アンケートに向かないこと】
・個別のクレーム対応(その場でお聞きする方が良い)

3-A:自由記入のハードルを下げる

「おや?と思ったこと」の質問に、書きやすくする前置きの一文(悪い点を書いても大丈夫だと伝わる短い文)を付けてください。大げさにならないように。

3-B:お願い文を作る

このアンケートの冒頭に置くお願い文を3行で作ってください。①目的(お店を良くするため) ②匿名であること ③かかる時間、の3点だけを入れてください。

3-C:配り方の選択肢

紙とフォーム(二次元コード)それぞれの利点を2行ずつで整理してください。うちは[例:年配のお客様が多い]お店です。どちらが向くかの観点もください。決めるのはこちらでやります。
4. Before / After

Before:聞きたいことをそのまま

当店の接客に不満な点はありますか?正直にお書きください。

After:答えられる形に翻訳

今日、少しでも「おや?」と思ったことがあれば教えてください。
(任意です。小さなことほど助かります。サービス向上のためだけに使います)
店の人が守る箇所:お願い文に書いた約束(匿名・目的・使い道)を、その通りに守ることです。「サービス向上のためだけ」と書いたなら、回答を他の用途に使いません。
指し示すラボ博士
ラボ博士
悪い声を集める勇気が出ないときは、思い出してください。不満を書いてくれる人は、黙って来なくなる人より、ずっと店の味方です。
マナブ
アンケートは通信簿じゃなくて、次の一手の材料集めなんですね。
気づくマナブ
アンケートづくりでAIに任せる質問設計と人が守る匿名性や回答の扱いを分ける図

ケース3:アンケートを「3空欄の型」にする

季節や新メニューのたびに作れるよう、型にしておきます。

1. コピペ用完成プロンプト
あなたは、お店のアンケートの型を作る翻訳係です。次の3空欄を埋めれば毎回使えるテンプレートを作ってください。

【大前提】
- 空欄以外の定型句を増やさない
- 個人を特定する質問欄を作らない
- 質問は5問までの制限を型に組み込む
- お願い文(目的・匿名・時間)を必ず先頭に置く

【3つの空欄】
1. [お願い文:今回の目的]
2. [質問5問:知りたいこと1つを翻訳したもの]
3. [お礼と、声をどう活かすかの一言]

【形式】
- お願い文/質問/お礼
- 配る前チェック
2. AIの返し(例)
【アンケートのお願い】
[目的を1行]。無記名です。約3分で終わります。

Q1〜Q5:[知りたいこと1つを翻訳した5問]

【お礼】
ご協力ありがとうございました。
[いただいた声の活かし方を1行:例)メニューの見直しに使わせていただきます]

配る前チェック:
□ 個人を特定する質問がないか
□ 誘導する聞き方がないか
□ 自分で答えて3分以内か
□ お願い文の約束を守れるか
3. 直す追加指示
回答を読んだあとの「店内掲示用の報告文」の型も足してください。「いただいた声:〇〇/変えたこと:〇〇」の2行だけの形式で。
4. Before / After
(アンケートは開店時に1回きり。意見箱は空のまま)
季節ごとに知りたいこと1つ→5問。集まった声から変えたことを店内に掲示。
「声を出すと変わる店」だと伝わり、次の声が集まる。

「いただいた声で変えました」の掲示は、アンケートの回収率を一番上げる仕掛けです。声への返事は、次の声を呼びます。

答えにくい長いアンケートから3分で答えられる5問へ変わるBeforeAfter図

安全に使うための4つの境界

個人を特定しない:氏名・住所・連絡先の欄は作りません(必要な会員登録などは別の仕組みで)。自由記入も匿名前提で設計します。
回答を無断でAIに貼らない:手書きの回答には個人が分かる内容が混ざります。外部サービスで分析するなら、お願い文に明記して了解を得るのが筋です。
誘導しない:「自慢の」「ご満足いただけましたか」のような、褒めさせる前提の聞き方は消します。
約束を守る:お願い文に書いた目的・匿名・使い道の約束は、店が守ります。守れない約束は書きません。

アンケートは、お客様の時間と本音を預かる文書です。質問の翻訳はAIに任せて、預かったものへの責任は店が持ちます。

マナブ
知りたいこと1つ、質問5問、3分以内、約束は守る。アンケートの設計図が見えました。
うなずくマナブ
ほほえむラボ博士
ラボ博士
まず「今いちばん知りたいこと」を1つ、声に出してみてください。それをケース1のプロンプトに入れれば、今日中に5問ができますよ。
個人特定の質問を作らず誘導を消し知りたいこと1つの5問から試す次の一歩とシリーズ位置の図

まとめ:全部聞くより、1つ深く聞く

アンケートが空振りするのは、勇気や文章力の問題ではなく、設計の問題です。知りたいことを1つに絞り、答えられる質問に翻訳し、3分で終わる5問にする。翻訳はAIの得意分野で、匿名の約束と声への返事は人の仕事です。

個人を特定しない。誘導しない。回答を無断でAIに貼らない。書いた約束は守る。この線を守れば、お客様の声は、こわい通信簿ではなく、次の一手の材料になります。

次の一歩:AIへの指示の組み立て方を身につけたい方は、「AIへの指示を背景・ゴール・形式・制約の4要素で作る方法」へ進んでください。業種別・文書別シリーズの続きは noteマガジン で追えます。
AM

非エンジニアの経営者。Codex × Claude Code × ChatGPT を"部下"として使い倒し、現場で起きたことをそのまま記録しています。

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