求人を出して3週間、応募はゼロ。求人サイトの管理画面を開いては閉じ、「時給をもう50円上げるべきか」と悩む夜があります。
時給を動かす前に、試せることが1つあります。求人文を、AIとの往復で「働く人目線の具体」に練り直すことです。時給や休日という条件は1円も1日も変えません。変えるのは伝え方だけです。
ただし、AIへ渡すのは職場で決定済みの条件と事実だけです。賃金・勤務時間・休日を盛らせず、性別・年齢・国籍で応募者を絞る表現は書かせず、応募者の個人情報は入れません。最後のひとことは、職場の人が自分の言葉で書きます。

「アットホームな職場です」は、なぜ届かないのか
応募する側の目線で読むと、理由が見えてきます。「アットホームな職場」「やりがいがあります」「急募!」からは、どんな仕事を、誰と、どんなペースでやるのかが分かりません。中身の見えない求人は、時給が同じなら「分かる求人」に負けます。
AIに任せたいのは、この「中身を見えるようにする」部分です。時給を決めることや、待遇を約束することではありません。



扱うのは「募集文」だけ。選考はAIに持ち込まない
この記事で扱わない:応募者への選考連絡、面接の評価、不採用連絡の文章(応募者の個人情報を扱うため)。時給いくらが適正かなど、労働条件の決め方もAIに決めさせません。
募集文は、まだ誰の個人情報も含みません。だからAIと練習するのに向いています。逆に、応募が来たあとのやり取りは氏名や連絡先を扱うため、この記事の方法の対象外です。
基本は4段階:指示、返し、直す、職場の言葉
最初に、決定済みの条件と「書かないこと」を渡します。返ってきた下書きを読み、「仕事の1日を具体的に」「働く人目線に」と短く追加します。最後に職場の人が条件を確認し、ひとことを自分で書きます。

ケース1:定番のパート・アルバイト募集文
まず基本の流れです。例はすべて創作で、実在の店・応募者・従業員ではありません。店名や実際の条件は入れず、公開前に人が差し込みます。
あなたは、小さな職場のパート・アルバイト募集文を整える下書き係です。職場で決定済みの条件だけを使い、仕事の中身が見える募集文の土台を作ってください。 【大前提】 - 応募条件を性別・年齢・国籍で限定する表現は書かない(「若い方向け」「女性歓迎」のような言い回しも書かない) - 賃金・勤務時間・休日・雇用形態は、入力された決定済みの事実だけを書く。盛らない・ぼかさない - 「昇給あり(検討中)」など、職場が決定していない条件・約束を補わない - 応募者の氏名・連絡先・選考に関する内容は扱わない - AIの出力は下書きとし、最後は必ず職場の人が事実を確認し、ひとことを自分の言葉で書く 【職場で決定済みの内容】 - 仕事の内容:[例:ホールでの接客・片づけ] - 仕事の1日の流れ:[例:開店準備→ランチ対応→締め作業] - 時給・給与:[決定済みの金額] - 勤務時間・シフト:[決定済みの内容] - 休日:[決定済みの内容] - 応募方法:[電話/フォームなど公開済みの方法] 【目的】 - どんな仕事を、誰と、どんなペースでやるかが読んで分かる - 初めて働く人の不安(できるか・教えてもらえるか)に事実で答える - 大げさな言葉より、具体的な場面で伝える 【出力形式】 1. 見出し(仕事内容が分かる一行) 2. 仕事の1日の流れ 3. 決定済みの条件(時給・時間・休日) 4. こんな進め方で教えます(決定済みの事実だけ) 5. [職場からのひとこと:人が書く空欄] 6. 応募方法 7. 公開前チェック 【文体】 - 飾らない、話しかけるような文 - 300〜400字程度
見出し:ランチタイムのホールスタッフ募集(接客・片づけ) 仕事の1日: 10:30 開店準備(テーブル拭き・セット) 11:30〜14:00 ランチ対応(注文・配膳) 14:00〜15:00 片づけ・翌日の準備 時給:[決定済みの金額] シフト:[決定済みの内容] 休日:[決定済みの内容] 最初の1週間は、先輩と2人で同じ動きをします。 [職場からのひとこと] 応募方法:[公開済みの方法]3. 直す追加指示
「先輩と2人で」の部分は、入力していない場合は削除してください。教え方は【職場で決定済みの内容】に書いた事実だけにしてください。時間の流れは残し、専門用語(バッシング等)があれば日常の言葉に直してください。4. Before / After
Before:中身が見えない文
ホールスタッフ大募集!明るく元気な方、大歓迎。アットホームなお店で一緒に働きませんか?やる気のある方をお待ちしています!
After:仕事の1日が見える文
ランチタイムのホールスタッフ募集(注文・配膳・片づけ) 10:30の開店準備から、15:00の片づけまでが1日の流れです。 時給:[決定済みの金額]/シフト・休日:[決定済みの内容] [職場からのひとこと:人が書く] 応募方法:[公開済みの方法]
ケース2:応募が来ない求人文を練り直す
ここが本編の中心です。すでに出している求人文を貼り、ありがちな言葉を働く人目線の具体へ練り直します。貼るのは自分の職場の募集文だけです。応募者とのやり取りや他社の文章は貼りません。
あなたは、小さな職場の求人募集文を練り直す下書き係です。次の募集文を、仕事の中身が見える文に直してください。 【大前提】 - 応募条件を性別・年齢・国籍で限定する表現は書かない(言い回しの変形も書かない) - 賃金・勤務時間・休日は、元の文に書かれた決定済みの事実だけを使う。良く見せるための変更・追加をしない - 職場が決定していない待遇・教育制度・昇給を補わない - 「アットホーム」「やりがい」「急募」など中身の見えない言葉は、具体的な事実に置き換えるか削る - 分からない部分は勝手に埋めず、[職場に確認:〇〇]と書いて残す 【今の募集文】 [ここに貼る] 【練り直しの観点】 - どんな仕事を(作業の中身と1日の流れ) - 誰と(一緒に働く人数・役割。個人名は書かない) - どんなペースで(忙しい時間帯・落ち着く時間帯) - 何が身につくか(事実として言えることだけ) 【出力形式】 1. 練り直した募集文 2. 元の文から削った言葉と、その理由 3. [職場に確認:〇〇]の一覧 4. [職場からのひとこと:人が書く空欄]
練り直した募集文: キッチンの仕込みスタッフ募集(午前中心) 朝9時から、野菜のカットと仕込みを2人体制で進めます。 ランチ前の10:30までが忙しい時間帯です。 時給:[元の文の金額] 勤務:[元の文の内容] 包丁の持ち方から教えます。 [職場に確認:教える担当と期間] [職場からのひとこと] 削った言葉:「アットホーム」「やる気重視」 理由:仕事の中身が伝わらないため
3-A:仕事の1日をさらに具体に
「仕込み」の中身を、初めての人でも想像できる作業名で2〜3個書いてください。元の文と入力に無い作業は足さず、[職場に確認]として残してください。
3-B:誰と働くかを見えるように
一緒に働く人数と役割分担を、入力にある範囲で1行入れてください。個人名・年齢・性別は書かないでください。「みんな仲良し」のような中身のない表現も使わないでください。
3-C:盛りと絞りの最終確認
完成文を見直し、①入力に無い条件・約束、②性別・年齢・国籍を連想させる言い回し、③「最高」「絶対」などの誇大な言葉、が残っていれば削って、削った箇所を一覧にしてください。4. Before / After
Before:ありがちな文
スタッフ急募!アットホームな職場で、やりがいのあるお仕事です。明るい方、長く働ける方を歓迎します。まずはお気軽にご連絡ください!
After:働く人目線の文
キッチンの仕込みスタッフ募集(朝9時〜、2人体制) 野菜のカット、スープの仕込み、開店前の盛り付け準備が主な仕事です。 10:30までが忙しく、その後は落ち着いて作業できます。 時給・勤務時間・休日:[決定済みの内容をそのまま] [職場からのひとこと:人が書く] 応募方法:[公開済みの方法]



ケース3:募集文を「3空欄の型」にする
練り上がった募集文は、次に人を探すときのために、3つの空欄を残した型として保存できます。
あなたは、小さな職場の求人募集文の型を作る下書き係です。次の3空欄だけを差し替えて使える短いテンプレートを作ってください。 【大前提】 - 応募条件を性別・年齢・国籍で限定する表現は書かない - 条件の欄は「決定済みの事実を転記する」注意書きを付ける - 応募者の個人情報を書く欄は作らない 【3つの空欄】 1. [仕事の1日:作業と時間の流れを記入] 2. [こんな進め方で教えます:決定済みの事実だけ記入] 3. [職場からのひとこと:人が自分の言葉で記入] 【形式】 - 見出し - 仕事の1日 - 条件(時給・時間・休日は決定済みの事実を転記) - 教え方 - 職場からのひとこと - 応募方法 - 公開前チェック
見出し:[仕事内容が分かる一行] 仕事の1日: [仕事の1日:作業と時間の流れを記入] 条件: 時給・時間・休日は [決定済みの事実をそのまま転記] 教え方: [こんな進め方で教えます:決定済みの事実だけ] [職場からのひとこと:人が記入] 応募方法:[公開済みの方法] 公開前チェック: □ 条件は決定済みの事実のままか □ 性別・年齢・国籍で絞る表現がないか □ 未決定の約束が入っていないか □ ひとことを自分の言葉で書いたか3. 直す追加指示
空欄以外の定型句を増やさないでください。「こんな方に」の欄を作る場合は、性別・年齢・国籍に触れず、仕事の進め方の事実(例:立ち仕事が中心)だけを書く注意書きを付けてください。4. Before / After
スタッフ募集!詳細は面談にて。やる気のある方をお待ちしています。
見出し:[仕事内容が分かる一行] [仕事の1日] [決定済みの条件] [職場からのひとこと] 応募方法:[公開済みの方法]
保存するのは、個人情報も未決定の約束も含まない型だけです。使うたびに、条件と教え方が今も事実かを人が確認します。

安全に使うための4つの境界
条件は決定済みの事実だけ:賃金・勤務時間・休日を盛らない、ぼかさない、未決定の約束を書かない。AIが練るのは仕事内容の具体化と伝え方だけです。
応募者の個人情報を入れない:応募者の氏名・連絡先・選考メモはAIに入れません。選考・面接・不採用連絡はこの方法の対象外です。
最後は人が確認:公開前に職場の人が条件と事実を確認し、ひとことを自分の言葉で書きます。
求人文は、読んだ人の生活に関わる約束事です。だからこそ、AIに任せる範囲を「伝え方の下書き」までと決めておくと、安心して往復できます。



まとめ:時給を上げる前に、伝え方を変えてみる
応募が来ないとき、打てる手は時給だけではありません。「アットホーム」「やりがい」「急募」を、仕事の1日・一緒に働く人・身につくことの具体に置き換えるだけで、求人文は別物になります。
条件は盛らない。絞る表現は書かない。応募者の個人情報は入れない。最後は職場の人が確認して、ひとことを自分の言葉で書く。この境界を守れば、AIは求人文の心強い下書き係になります。
今日、出しっぱなしになっている求人文を1本開いて、ケース2のプロンプトに貼ってみてください。



