手書きの練習帳をminneに並べると決めたとき、最後まで残った悩みが値段でした。500円か、800円か、思い切って1,000円か。会社の商品なら上司や経理と相談できますが、個人の副業には、値段の妥当性を一緒に詰めてくれる相手がいません。
結論から書くと、値付けはAIを相談相手にして、①相場調査②競合の実物③手取り計算の3つの材料で決めました。そして決めた後は、実績が出るまで動かさない。この記事は、その実録です。値札の実額も手取りも、全部そのまま載せます。
私の値付け、4ステップ

1つめ、相場をAIに調べさせる。「minneやダウンロード販売で、なぞり書き練習帳のようなデータ商品はいくらで売られているか」を調査させました。返ってきた答えは、売れ筋のダウンロード商品で300〜1,580円の帯。命名書のデータなら300〜1,400円。この帯の外に出るなら、相応の理由が要ります。
2つめ、競合の「実物」を見る。ここは自分の目も使いました。人間の代筆サービスは600円から(レビューが1,000件を超える人気作家さんもいます)。100円ショップには110円の完成品。無料のなぞり書きアプリまである。安さでは戦えない世界だと、先に思い知っておくのが大事でした。
3つめ、手取りを計算する。minneの販売手数料は10.56%。つまり500円で売れても手取りは約447円、800円なら約715円です。さらに振込は売上1,000円を超えてから。800円の商品が1件売れただけでは、入金は翌月に繰り越されます。この計算を先に見ると、「とりあえず安く」の怖さが数字で分かります。
4つめ、決めたら動かさない。これはAIとの壁打ちで一番効いた指摘でした。「販売実績ゼロの段階で価格を動かすと、何が原因で売れないのかが分からなくなる。いまの目的は反応データ取りだから、値上げも値下げも今回は捨てる」。売れない不安から様子見の値下げをしたくなるのを、この一言が止めてくれています。
実際の値札、全部見せます

いま並んでいる値札はこうです。香典袋の表書きやひらがなの定番の練習帳は500円。お名前とご住所でお作りするオーダーメイドの練習帳は800円。準備中の新作キットは1,000円案と800円案で迷い中——AIには「根拠つきで2案とも出して」と頼み、相場の中央より上に置く1,000円案と、初動の売れやすさを取る800円案が並んでいます。最後にどちらの値札を下げるかは、私が決めます。
そして正直に書くと、売上はまだ0件です(この記事を書いている7月中旬時点)。それでも値段を動かしていないのは、上の4つめの決め事があるからです。売れない原因が「知られていない」なのか「価格」なのかの切り分けは、「発売3日で売上ゼロ。数字を全部公開して敗因を考えた話」に書いたとおり、まず来てもらう数字を見てからです。
AIとの値付け会議、実際の頼み方
丸投げで「いくらにすべき?」と聞くと、当たり障りのない答えが返ります。効いたのは、材料を渡して判断材料を作らせる頼み方でした。
私はハンドメイドサイトで〔商品の説明〕を販売します。 ①同じ種類のデータ商品の価格帯を調べて、安値・中央・高値の目安を教えてください。 ②販売手数料〔10.56%〕を引いた手取り額を、価格案ごとに計算してください。 ③「安めで数を取る案」と「相場の中央より上に置く案」を、それぞれ根拠つきで1つずつ出してください。 最終的にどちらにするかは私が決めます。
迷った2案を「両方、根拠つきで」出させるのがコツです。1案だけ出させると、それが正解に見えてしまう。2案並ぶと、初めて自分の判断が入る余地ができます。
AIに任せること、人が守ること【値付けの線引き】

出品・価格入力・公開ボタンは人:私の運用では、価格の入力から出品ボタンまで自分の手でやると決めています。
売上や口座の情報の扱い:AIに渡すのは商品の説明と手数料率まで。販売サイトのログイン情報や振込口座は渡しません。
買ってくれた人への約束:買った直後に値下げされたら、お客様はどう感じるか。後から気軽に下げないのも値付けの一部です。
そのまま使える完成プロンプト3ケース
① 相場の調べ方
〔販売サイト名〕で「〔商品の種類〕」がいくらで売られているか、価格帯を調べてください。 安値・よく見る中央の帯・高値の3段階に分け、それぞれどんな商品がその価格なのかを一言添えてください。 無料の代替品(アプリ・100円グッズなど)があれば、それも正直に教えてください。
② 手取りと損益分岐の計算
販売手数料は〔○%〕、振込の最低額は〔○円〕です。 価格案〔500円/800円/1,000円〕それぞれの手取り額と、 月〔○円〕の目標に届くのに必要な販売数を表にしてください。
③ 迷った2案の判断材料
価格を〔A円〕にするか〔B円〕にするかで迷っています。商品は〔説明〕、相場は〔調べた帯〕です。 それぞれの案の狙いとリスクを根拠つきで整理してください。結論は出さなくて構いません。決めるのは私です。
今日やることは2つです。
②決めた価格を、実績が出るまで動かさないと先に決める:様子見の値下げは、原因の切り分けを濁します。動かすなら数字を見てから。
手書きの練習帳のお店「ふみくら堂(minne)」——この記事に書いた500円と800円の値札のまま、注文をお待ちしています。開店までの舞台裏は「AIと美文字練習帳を作ってminneに開店した話」へ。
※売上ゼロの敗因分析は「発売3日で売上ゼロ」、AIの答えの選び方は「鵜呑みにしない仕組み」もどうぞ。



