非エンジニアのAI実務術 2026年7月12日 · 読了 6分

値段をいくらにするか、相談相手がいない|AIと決めた練習帳の価格【値付け】

個人の副業には、値段を一緒に詰めてくれる相手がいません。私はAIを相談相手に、相場調査・競合の実物・手取り計算の3つの材料で練習帳の値付けを決めました。500円の手取りは約447円——実際の値札と数字を全部見せる実録です。

値段をいくらにするか、相談相手がいない|AIと決めた練習帳の価格【値付け】

手書きの練習帳をminneに並べると決めたとき、最後まで残った悩みが値段でした。500円か、800円か、思い切って1,000円か。会社の商品なら上司や経理と相談できますが、個人の副業には、値段の妥当性を一緒に詰めてくれる相手がいません。

結論から書くと、値付けはAIを相談相手にして、①相場調査②競合の実物③手取り計算の3つの材料で決めました。そして決めた後は、実績が出るまで動かさない。この記事は、その実録です。値札の実額も手取りも、全部そのまま載せます。

私の値付け、4ステップ

相場を調べ、競合の実物を見て、手取りを計算し、決めたら実績が出るまで動かさない値付け4ステップの図

1つめ、相場をAIに調べさせる。「minneやダウンロード販売で、なぞり書き練習帳のようなデータ商品はいくらで売られているか」を調査させました。返ってきた答えは、売れ筋のダウンロード商品で300〜1,580円の帯。命名書のデータなら300〜1,400円。この帯の外に出るなら、相応の理由が要ります。

2つめ、競合の「実物」を見る。ここは自分の目も使いました。人間の代筆サービスは600円から(レビューが1,000件を超える人気作家さんもいます)。100円ショップには110円の完成品。無料のなぞり書きアプリまである。安さでは戦えない世界だと、先に思い知っておくのが大事でした。

3つめ、手取りを計算する。minneの販売手数料は10.56%。つまり500円で売れても手取りは約447円、800円なら約715円です。さらに振込は売上1,000円を超えてから。800円の商品が1件売れただけでは、入金は翌月に繰り越されます。この計算を先に見ると、「とりあえず安く」の怖さが数字で分かります。

4つめ、決めたら動かさない。これはAIとの壁打ちで一番効いた指摘でした。「販売実績ゼロの段階で価格を動かすと、何が原因で売れないのかが分からなくなる。いまの目的は反応データ取りだから、値上げも値下げも今回は捨てる」。売れない不安から様子見の値下げをしたくなるのを、この一言が止めてくれています。

実際の値札、全部見せます

定番500円・オーダーメイド800円・新作1000円案の値札と、手数料を引いた手取り額を並べた図

いま並んでいる値札はこうです。香典袋の表書きやひらがなの定番の練習帳は500円。お名前とご住所でお作りするオーダーメイドの練習帳は800円。準備中の新作キットは1,000円案と800円案で迷い中——AIには「根拠つきで2案とも出して」と頼み、相場の中央より上に置く1,000円案と、初動の売れやすさを取る800円案が並んでいます。最後にどちらの値札を下げるかは、私が決めます。

そして正直に書くと、売上はまだ0件です(この記事を書いている7月中旬時点)。それでも値段を動かしていないのは、上の4つめの決め事があるからです。売れない原因が「知られていない」なのか「価格」なのかの切り分けは、「発売3日で売上ゼロ。数字を全部公開して敗因を考えた話」に書いたとおり、まず来てもらう数字を見てからです。

AIとの値付け会議、実際の頼み方

丸投げで「いくらにすべき?」と聞くと、当たり障りのない答えが返ります。効いたのは、材料を渡して判断材料を作らせる頼み方でした。

私はハンドメイドサイトで〔商品の説明〕を販売します。
①同じ種類のデータ商品の価格帯を調べて、安値・中央・高値の目安を教えてください。
②販売手数料〔10.56%〕を引いた手取り額を、価格案ごとに計算してください。
③「安めで数を取る案」と「相場の中央より上に置く案」を、それぞれ根拠つきで1つずつ出してください。
最終的にどちらにするかは私が決めます。

迷った2案を「両方、根拠つきで」出させるのがコツです。1案だけ出させると、それが正解に見えてしまう。2案並ぶと、初めて自分の判断が入る余地ができます。

AIに任せること、人が守ること【値付けの線引き】

値付けでAIに任せる相場調査・価格案・手取り計算と、人が守る最終決定・公開ボタン・我慢を分けた図
最終価格の決定は人:AIの案はどれも、もっともらしく見えます。値札に責任を持てるのは自分だけです。
出品・価格入力・公開ボタンは人:私の運用では、価格の入力から出品ボタンまで自分の手でやると決めています。
売上や口座の情報の扱い:AIに渡すのは商品の説明と手数料率まで。販売サイトのログイン情報や振込口座は渡しません。
買ってくれた人への約束:買った直後に値下げされたら、お客様はどう感じるか。後から気軽に下げないのも値付けの一部です。

そのまま使える完成プロンプト3ケース

① 相場の調べ方

〔販売サイト名〕で「〔商品の種類〕」がいくらで売られているか、価格帯を調べてください。
安値・よく見る中央の帯・高値の3段階に分け、それぞれどんな商品がその価格なのかを一言添えてください。
無料の代替品(アプリ・100円グッズなど)があれば、それも正直に教えてください。

② 手取りと損益分岐の計算

販売手数料は〔○%〕、振込の最低額は〔○円〕です。
価格案〔500円/800円/1,000円〕それぞれの手取り額と、
月〔○円〕の目標に届くのに必要な販売数を表にしてください。

③ 迷った2案の判断材料

価格を〔A円〕にするか〔B円〕にするかで迷っています。商品は〔説明〕、相場は〔調べた帯〕です。
それぞれの案の狙いとリスクを根拠つきで整理してください。結論は出さなくて構いません。決めるのは私です。

今日やることは2つです。

①自分の商品の「相場の帯」と「手取り額」を出す:①②のプロンプトで30分あれば揃います。
②決めた価格を、実績が出るまで動かさないと先に決める:様子見の値下げは、原因の切り分けを濁します。動かすなら数字を見てから。
この値札の商品は、ここに並んでいます。
手書きの練習帳のお店「ふみくら堂(minne)」——この記事に書いた500円と800円の値札のまま、注文をお待ちしています。開店までの舞台裏は「AIと美文字練習帳を作ってminneに開店した話」へ。
※売上ゼロの敗因分析は「発売3日で売上ゼロ」、AIの答えの選び方は「鵜呑みにしない仕組み」もどうぞ。
AM

非エンジニアの経営者。Codex × Claude Code × ChatGPT を"部下"として使い倒し、現場で起きたことをそのまま記録しています。

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