10月の終わりになると、葬儀を終えたご遺族から斎場に電話が増えます。「喪中はがきって、いつまでに、誰に出せばいいんでしょうか」。葬儀の打ち合わせでは一度も出なかった質問が、この季節になると何件も届く。毎年のことです。
先に、答えだけ言います。出すのは10月中旬から11月中に、毎年年賀状をやり取りしている相手へ。これで大枠は決まりです。
この記事では、時期と相手の見分け方を早見表で答えたうえで、文面をAIと10分で下書きする手順を紹介します。今年初めて喪中はがきを出す方が、11月上旬までに文面を完成させて、あとは宛名を書くだけの状態になる。そこまでを目指します。
「喪中はがきはどうすれば」——葬儀のあとに来る電話
電話で受ける質問は、突き詰めるとこの3つに集約されます。いつまでに出すか。誰まで出すか。何を書くか。
裏を返せば、迷うのはこの3つだけです。喪中はがきを出すのは、多くの人にとって人生で数回のこと。分からなくて当たり前で、恥ずかしいことではありません。3つの答えを、順番に置いていきます。
基本の答え:10月中旬〜11月中に、年賀状をやり取りしている相手へ
まず「いつまでに」。相手が年賀状の準備を始める前に届くのが本線です。多くの人が年賀状に手を付けるのは11月末から12月上旬なので、10月中旬〜11月中の投函が目安になります。遅くとも12月上旬まで。それを過ぎたら、無理に出さずに年明けの寒中見舞いに切り替えます。

次に「誰まで」。毎年、年賀状をやり取りしている相手に出します。年賀状を交わしていない相手にまで広げる必要はありません。近い親族どうしは、お互いに喪中と分かっているので省略してかまいません。

お店や会社をされている方が決まって迷うのが、「個人は喪中として、店の年賀状はどうするか」です。一般的には、個人のあいさつと商売のあいさつは分けて考えてよいとされています。店名で出す年賀状は例年どおり、個人の付き合いには喪中はがきを、という2本立てにする店は珍しくありません。どちらが正しいという話ではなく、家の慣習と相談して決めることです。
最後に「何を書くか」。書くことは決まっています。新年のあいさつを控えるおことわり、誰がいつ亡くなったか(続柄と月。年齢は入れても入れなくてもよい)、今年お世話になったお礼、変わらぬお付き合いのお願い。この4つだけです。逆に、おめでたい言葉と近況報告は入れません。


文面はゼロから悩まない。決めるのは人、下書きはAI
時期と相手が決まったら、残りは文面です。ここで手が止まる方が多いのですが、考え方を1つ変えてください。喪中はがきは、型のある定型文書です。悲しみの中で、ゼロから文章をひねり出す必要はありません。
だからこそ、下書きはAIに任せられます。型どおりの文章を条件に合わせて整えるのは、AIのいちばん得意な仕事です。10分あれば、自分の家に合う文面の候補が3つ並びます。
ただし、先に釘を刺しておきます。「誰に出すか」「故人のことをどこまで書くか」は、家の判断です。ここはAIに決めさせません。AIに渡すのは、決めたあとの清書役だけです。
昔ながらの流儀では、喪中はがきの本文に句読点を打ちません。AIに頼むとき「句読点なしの形で」と一言添えると、その形式で返ってきます。
AIとの文例づくり、実際の往復
頼み方で結果が変わります。まず、うまくいかない例から。
喪中はがきの文面を作ってください。
これだと、どこにでもある定型文がひとつ返ってくるだけです。続柄も月も入っていないので、結局自分で直すことになります。続柄・亡くなった月・差出人の立場を渡すと、返事が「自分の家の文面」になります。
喪中はがきの文面を作ってください。 ・今年5月に母が亡くなった(享年は入れない) ・差出人は夫婦連名 ・「年賀」「おめでとう」などの祝いの言葉は使わない ・句読点なし・縦書き想定で本文80字以内 ・3案ください
この条件のうち、続柄と月を差し替えるだけで、どの家でも使えます。返ってきた3案から選び、固有の部分(名前・住所)は手元で書き足す。AIとのやり取りはここまでで、はがきに向かうのは自分です。
AIに任せること、人が守ること
喪中はがきは身内の死を知らせる文書なので、AIとの分担は他の文書より一段はっきり分けておきます。

事実はAIに作らせない:亡くなった月・続柄・年齢は、AIの下書きを鵜呑みにせず、人が確認して差し替えます。
慣習は家と菩提寺・葬儀社を優先:宗教・宗派・地域の慣習に関わる表現は、AIの一般論よりそちらに合わせます。
「誰に出すか」を任せない:出す・出さないは人間関係の判断。AIには決めさせません。
そして宛名は、自分の手で書きます。喪中はがきは、こちらの近況を案じてくれる相手に届くものです。受け取る人が最初に見るのは、表の宛名の字。印刷でも失礼ではありませんが、手書きの字にはそれだけで伝わるものがあります。
そのまま使える完成プロンプト3ケース
続柄・月・立場を自分のケースに置き換えれば、そのまま使えます。
① 基本の文面
喪中はがきの文面を3案作ってください。 条件:①今年5月に母が亡くなった(続柄と月はあとで差し替えます)②差出人は私一人③故人の年齢を入れる案と入れない案を両方④「年賀」「おめでとう」などの祝いの言葉は使わない⑤句読点なし・縦書き想定で本文80字以内。
② 店主の「個人は喪中・店は年賀状」の使い分け
私は小さな店を経営しています。今年父を亡くしました。 個人の年賀状は喪中にしますが、店として取引先に出す年賀状をどうするか、一般的な考え方を3つの選択肢で説明してください。 そのうえで「店は例年どおり年賀状を出す」と決めた場合の、私個人の喪中はがき文面を1案作ってください。
③ 間に合わなかった時の寒中見舞い
12月に身内が亡くなり、喪中はがきが間に合いませんでした。 年明けに出す寒中見舞いの文面を2案作ってください。 条件:①年賀状をくださった方へのお礼と、お知らせが遅れたお詫びを入れる②亡くなった月と続柄を入れる③明るすぎる表現は避ける④本文100字以内。
今週やることは、2つだけです。
②文面をAIで下書きする:上のプロンプトで10分。3案から選んで、続柄と月を差し替えれば完成です。
喪中はがきと寒中見舞いの文例を、なぞり書きで練習できる練習帳(PDF・A4印刷用)を作りました。→「喪中はがきの文例 なぞり書き練習帳 寒中見舞い」。宛名は手で書くと決めた方には「封筒・はがきの宛名書き なぞり書き練習帳」もあります。
葬祭の現場でのAI活用は「葬祭業にAIは無理?司会原稿・案内文のたたき台をAIに任せる方法」で、夏のごあいさつ状は「暑中見舞い・夏のごあいさつ文をAIと書く【例文つき】」でまとめています。
※葬祭業向けの「AIコピペ集」も準備中です。



